公益通報者保護法とは、事業者の違法・不正行為に対して、公益通報(内部告発)した者を保護(解雇、更新拒否、降格、嫌がらせ等、不利益な取扱いの禁止)するものです。
また、公益通報に関して事業者が取るべき措置を定めた法律であり、指針やガイドライン等に沿って、コンプライアンス経営を強化することが求められています。
近年、事業者の不祥事が事業者内部からの通報により相次いで明らかになっています。例えば、自動車のリコール隠し・食品の偽装表示・構造計算書偽装問題など記憶に新しいところです。
本来、法令違反行為の是正のための通報は、正当な行為として評価されるべきですが、過去に起こった不祥事の中では、通報者に対する不利益な取扱いが行われるケースがあり、公益通報者の保護が求められてきました。
こうした問題を解決すべく、国民生活の安定と社会経済の健全な発展を目的に、平成18年4月に施行されたのが「公益通報者保護法」です。
また、令和2年改正により、常用労働者が300名を超える事業主は、本法11条により、内部公益通報に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備等の措置をとることが義務付けられました。(常用労働者300名以下の場合は、努力義務。)
通報処理の仕組みの整備
経営幹部を責任者として、通報の受付から調査、是正措置の実施及び再発防止の策定までを適切に行う。
通報窓口及び受付の方法を明確に定め、これを周知する。
通報者の保護に関する規定を明記した通報処理の仕組みに関する内部規定を整備する。
調査の実施
調査の実施に当たっては、通報者の秘密を守るため、通報者が特定されないよう調査の方法に十分配慮することが必要である。
調査中は、調査の進捗状況について適宜、通報者に通知すると共に、調査結果は、可及的速やかに取りまとめ、通報者に対し、その結果を通知するよう努めることが必要である。
是正措置の実施
調査の結果、法令違反等が明らかになった場合には、速やかに是正措置及び再発防止策を講じることが必要である。
解雇・不利益取扱いの禁止
公益通報をしたことを理由として通報者に対し、解雇・不利益取扱い(懲戒処分、降格、減給等)をしてはならない。
フォローアップ
事業者は、通報処理終了後、法令違反等が再発していないか、是正措置及び再発防止策が十分に機能しているかを確認することが必要である。
仕組みの周知等
通報処理の仕組みやコンプライアンス(法令遵守)の重要性について、社内通達、社内報、電子メール等での広報の実施、定期的な研修の実施、説明会の開催等により、労働者、管理者等に対し、十分に周知することが必要である。
上記内容は、「公益通報者保護法に関する民間事業者向けガイドライン」の一部です。